住宅ローン特則の要件等を説明します。
住宅ローンに関する特則の申立て(住宅資金特別条項)
1 住宅資金貸付債権とは
(1)住宅の建設・購入または住宅の改良に必要な資金の借入であること
(2)この資金の返済が、分割払いとなっていること
(3)住宅ローン債務や、保証会社の求償債務を担保するために、抵当権が設定され
ていること
※ 住宅ローン以外に他の債務のための抵当権等が設定されている場合には、住宅ロ
ーン特則を利用することはできません。
2 対象となる「住宅」とは
(1)個人の債務者が所有し、自ら居住するための建物であること
(2)建物の床面積の2分の1以上に相当する部分を自ら居住するために使用している
こと(店舗や事務所と併用している場合の要件です。)
※ 一般的な住宅ローンであれば通常これらの要件はみたします。
3 すでに住宅ローンの滞納をしている場合
住宅ローンを滞納している場合、住宅ローンを融資した金融機関に対して保証会社が
保証債務の履行をしてしまっている場合があります。
この保証会社による保証債務の履行から6か月を経過していると、この住宅ローン特
則を利用することはできません。
4 住宅資金特別条項の内容
この特則において、実際にしばしば行なわれているのが「そのまま型」と呼ばれるパ
ターンです。
これは、その名のとおり、住宅ローンについては、住宅ローン借入のときの約定どお
りの返済を続けるというものです。
住宅ローン特則を再生計画の中に定める場合には、事前に住宅ローン融資をした金融
機関と協議をしなくてはいけないとされており、この協議が十分なされていなかった
ために、住宅ローン特則を定めることができず、再生計画案が不認可となったという
例があります。
住宅ローンについては、これまでどおり返済するという再生計画案であれば、金融機
関との調整もスムーズにいくため、この「そのまま型」がもっとも多く採用されてい
ると思われます。
住宅ローンについて、この「そのまま型」でという場合には、民事再生手続の申立て
の際に「弁済許可の申立て」をし、裁判所の許可を得て、住宅ローンについては、
従来どおり返済を続けることになります。
このように住宅ローンについては、一般の再生債権と異なりローン額の減額ができま
せん。
なお、他の債務については、手続中、支払いを一旦止めなければなりません。
特定の債権者のみに支払いをすると、後に、再生計画が不認可とされるおそれがあり
ます。