不動産屋にて手付金を支払い、
売買契約書に署名・捺印をします。
売主は、不動産を買主名義に変更すると同時に売買金額を授受したいはずです。
買主は、売買金額を支払うのと同時に、不動産名義変更の完全な書類を入手したい
はずです。
これらを実現すべく、安全な不動産取引のため、司法書士が以下の確認を行ないます。
重要な財産である不動産を、決済日に安全に移転するため、司法書士によるこれらの
事前の確認が重要なのです。
1 売主側の必要書面の確認
①
登記済証(いわゆる権利証)または登記識別情報通知
まず、売買の目的である不動産の登記済証(または登記識別情報)を確認します。
万一、売主が登記済証等を紛失しているという場合には、決済日前に、
「
司法書士による本人確認制度」若しくは「
事前通知制度」を利用することにな
ります。
「司法書士による本人確認制度」
これは、司法書士が売主と事前に面談し、本人であることの確認できる書面の
確認をした上で、権利取得の経緯等の聞き取り調査等をし、「本人確認情報」
という書面を作成します。
この司法書士による「
本人確認情報」を、法務局に提出することによって、
登記済証等の提出の代わりとすることができます。
②
印鑑証明書
売主の決済日まで3ヶ月以内の印鑑証明書を確認します。
売主が目的不動産を取得した時と、住所が異なっていたり、氏名が変わっている
という場合があります。これらの事実がないか、印鑑証明書や売買契約書から確
認します。
住所が変わっていたり、氏名が変わっているという場合には、前提として
登記名義人の表示の変更登記をしなければなりません。この表示の変更登記を
忘れると、大切な売買による所有権の移転の登記が却下されてしまいますので、
極めて重要な確認事項ということになります。
この変更登記が必要な場合には、その変更を証明する住民票や戸籍謄本をご用意
していただく必要があります。
③
評価証明書
目的不動産の固定資産評価証明書です。
売買による所有権移転登記を申請する際には、この評価額を基に計算する
「
登録免許税」を納付しなければなりません。
事前に不動産の評価額を確認することによって、登記費用の見積りをすることが
できます。
なお、年度が異なるものは使用できません。通常4月1日以降、評価額が変わり
ますので、年度変わりの時期での所有権移転の場合、注意が必要です。
④
抵当権の抹消書面
目的不動産に、売主による住宅ローンの抵当権がある場合には、今回の決済に
よって、住宅ローンの残金が完済され、抵当権の登記を抹消した上で、所有権の
移転登記をすることになります。
この抵当権の抹消書面についても、事前に確認をすることによって、決済当日
スムーズに抵当権が抹消できるようにする必要があります。
2 買主側の必要書面の確認
①
住民票
買主の正確な住所を証明するためのものです。
登記申請書面を作成するにあたり、事前に確認します。
②
抵当権設定のための各種書面
買主の不動産購入資金の借入れのために住宅ローンを組む場合に必要な書面です。
書面の不備によって、決済日に万一にも融資が実行されないようなことがない
ように事前に融資銀行から書面一式を預かります。
③
印鑑証明書
住宅ローンを組み、抵当権の設定登記をする場合、買主にも印鑑証明書を用意
してもらいます。
④
住宅用家屋証明書
目的建物が自己の住宅用であり、かつその建物が一定の要件を満たすものである
場合には、住宅用家屋証明書を取得することによって、登録免許税が大幅に減額
されます。
要件を満たしているかの確認をした上で、住宅用家屋証明書を取得します。
登録免許税の計算 |
通常の場合 |
住宅用家屋証明を利用 |
建物の所有権移転 |
建物評価額の 2% |
建物評価額の 0.3% |
抵当権の設定 |
借入額の 0.4% |
借入額の 0.1% |
◎ 夫婦や親子で不動産を購入する場合には、買主共有で登記申請をすることに
なります。共有持分の割合に問題がないかの確認をします。
3 当事務所が作成する書面
①
登記原因証明情報
現行の不動産登記法では、売買契約書とは別に、所有権移転を証明する書面と
して登記原因証明情報を作成し、法務局に提出することになります。
この書面は事務所で作成・準備し、売主の署名押印を頂くことになります。
②
委任状
司法書士へ登記申請の代理を委任するためのものです。
売主、買主双方の署名押印を頂くことになります。
なお、当事者が会社等法人の場合には、発行後3ヶ月以内の代表者事項証明書
が必要になります。
4 そのほか、特別な場合には、次のような書面が必要になります。
①
取締役会議事録(株主総会議事録)
会社の取締役がその会社から不動産を買い受けるなどの場合には、その会社の
承認を証する
取締役会議事録(株主総会議事録)が必要となります。
②
農地法の許可書・届出受理証明書
農地の売買の場合には、農地法所定の手続を経たことを証明する書面が必要に
なります。
決済当日には、司法書士が決済場所に同席し、最終的確認を行います。
1 売主に持参してもらった登記済証や印鑑証明書等につき、確認します。
抵当権を抹消する場合には、抵当権者(金融機関)が持参する抵当権抹消書類
を確認します。
不備がなければ、司法書士が作成した
登記原因証明情報と委任状に署名・押印
(実印)をいただきます。
2 買主に持参してもらった住民票や印鑑証明書(抵当権の設定をする場合)につ
き、確認します。
抵当権を設定する場合には、融資銀行経由で取得した抵当権設定書類を確認し
ます。
不備がなければ、司法書士が作成した委任状に署名・押印(抵当権を設定する
場合には実印)をいただきます。
3 司法書士は、以上の確認をし、住宅ローン融資をする金融機関の担当者に取引
に問題がない旨を伝え、融資実行の確認をします。
4 融資が実行され、抹消銀行、売主等に売買代金が入金されたことを確認します。
5 取引が無事終了すると、司法書士が法務局(登記所)へ登記申請をします。
決済日(登記申請日)から10日ほどで登記手続きは完了します。
新たな所有者(買主)に、登記が完了した後の
登記事項証明書と、
登記識別情報通知
(従来の登記済証・権利証にあたる書面)を届けます。
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