【 会社設立 → 事業譲渡による事業承継 】
株式譲渡のみによる会社売買のデメリットを補う方法です。
株式譲渡手続きのみでは、たとえ的確なデューデリを実施したとしても、売主(前
経営陣)が都合の悪いことを隠していた場合、買収後に思わぬ損害(偶発債務、簿
外債務等)を引き受けることになりかねません。
法律上は、前経営陣に債務不履行による訴えを提起し、勝訴判決によって損害賠償
金を取り戻すことになりますが、これは机上の理論です。
前経営陣が行方をくらましてしまった場合や、前経営陣に強制執行の対象になるだけ
の財産がない場合、または財産を隠されてしまった場合は、よほどしつこく、かつ多
大な調査費用をつぎ込まない限り、取戻しは不可能と思ってください。
静かに消滅時効が到来して完全に請求ができなくなるのを待つことになります。
そこで、上記リスクを回避するために行われるのが会社法上の事業譲渡(商法上の
営業譲渡にあたるが概念が微妙に違います)です。この手続きの場合、承継される
債権債務について、債権譲渡や債務引受の手続きが必要になります。
よって、
会社分割のときのような債権者保護手続きは不要になります。
ただし、もし利害関係のある債権者を無視した形での事業譲渡を行った場合、
法人格否認の法理や詐害行為取消権で争うことになります。
事業譲渡の手続きに関しては、債権債務の手続きの量や煩雑さにより、かかる時間
が変わってきますので、費用見積もりは事案に応じてその都度決めさせていただき
ます。
まず、
新規の会社を設立し、その後、事業譲渡により対象事業を承継します。
承継する事業に関する有形無形の資産負債の中で個別に選択することができます。
この場合、偶発債務・簿外債務は承継されません。
新規の会社設立 |
28~29万円 |
+ 事業譲渡 |
債権者保護手続きなし |
登録免許税 |
登記手続きなし |
報酬(消費税別) |
事案に応じて変わります。 |
総 計 |
事案に応じて変わります。 |
※ 基準日設定の公告が必要な場合、1社あたり、報酬1万円(消費税別)および
公告掲載実費各約3万円がかかります。
※ 商号続用による免責の登記が必要な場合は、報酬1万円(消費税別)および
登録免許税3万円がかかります。
※ 独占禁止法、金融商品取引法、国土利用計画法、許認可(宅建業、建設業、銀行
業、ガス事業、電気事業、道路運送業等)の再取得や届出(倉庫業、電気通信事
業等)を検討しなければいけません。
【 事業譲渡の手続き 】
譲渡会社・譲受会社の
定款、謄本、株主名簿(株主構成)、貸借対照表(B/S)
の準備
⇩
秘密保持契約の締結
⇩
事業譲渡契約書案の作成
⇩
事業譲渡契約の締結
⇩
譲渡会社の労働組合・労働者との事前協議
⇩
取締役会の開催
事業譲渡契約の承認
基準日設定の承認(株主総会まで2週間以上空ける)
株主総会招集事項の承認
⇩
譲渡会社・譲受会社の基準日公告
⇩ ⇩ ⇩
株主総会の招集手続き 各債権譲渡の手続き 労働契約承継の手続き
⇩ 各債務引受の手続き 労働者の同意
⇩
⇩
株主総会の開催
事業譲渡契約を承認
⇩
株主への通知または公告 ⇒ 反対株主等からの買取請求への対応
(効力発生日まで20日以上空けること)
⇩
譲渡日の到来
譲渡対価の支払い
⇩
譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合(会社法第22条)には、
免責の登記をします。
⇩
譲渡対象となった
不動産の移転登記の手続き
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